PREVENTIVE
予防・メンテナンス
歯周病とは

歯周病は歯肉や歯を支える骨に炎症が起き、進行すると歯を失う原因となる病気です。初期段階では自覚症状が少ないため、気づいたときには病状が進んでいることが少なくありません。炎症によって骨が溶けてしまうと、自然に元の状態に戻すことはできないため、いかに早く進行をくい止めるかが重要です。
また、歯周病を予防して歯を維持することは、エイジングケアにもなります。歯や歯肉が健康であれば、年齢を重ねても自信をもって笑顔を見せることができ、若々しさを保てます。お口の健康と美しさのためにも歯周病は早めに治療し、予防をしていきましょう。
Cure(治す)からCare(予防)へ
―元気な桃色歯肉で若さを保つ―
歯やお口の健康を守るためには「治療」だけでなく「予防」が重要です。以前は歯科医院といえば「歯が痛くなってから行くところ」という認識の方がほとんどでしたが、現在では「予防するために行くところ」という意識へと変わってきています。
歯科医院での「予防・メンテナンス」では、定期的な検診やクリーニングを通じて、虫歯や歯周病を未然に防ぐことを目指します。とくに歯周病予防は、お口の健康だけでなく、ピンク色の健康な歯肉による若々しい笑顔を保つことにもつながります。
また、歯のクリーニングで歯磨きだけでは落とせない歯垢や着色を取り除くことで、自然な白い歯を維持しやすくなります。
これまでは治療以外に歯科医院に通う習慣がなかったという方も、これからはアンデンタルオフィスで予防・メンテンナンスを始めてみませんか?
歯周病の進行
歯周病は進行性の病気で、最初は歯肉の炎症から始まります。これが悪化すると、歯肉だけでなく歯を支える骨にも炎症が広がっていきます。歯周病は、症状の進行に応じて「軽度」「中等度」「重度」の3段階に分かれます。
01
軽度の歯周病
歯肉が赤く腫れ、出血しやすい状態です。歯を支える骨が炎症で少し溶け始めている場合もあります。治療では歯周病の原因である歯垢を歯磨きで取り除くとともに、歯の表面や歯周ポケットの浅いところに付着した歯石を専用の器具で除去します。
02
中等度の歯周病
歯肉の腫れや出血の症状があり、さらに歯を支える骨への炎症が広がり、半分ほど溶けた状態です。治療では、歯周ポケットの深い部分に付着した歯石を取り除き、歯根の表面を削って歯垢が再び付着しにくいようにツルツルに仕上げます。
03
重度の歯周病
歯を支える骨が半分以上破壊され、歯がグラグラと揺れるような状態です。治療では局所麻酔をして歯肉を切開し、歯根の先のほうに付着した歯石を徹底的に取り除きます。また、汚染された歯肉を取り除いて歯周ポケットを浅くします。
歯周病の治療方法
歯磨き指導
歯周病治療の基本は、原因となる歯垢を取り除くことです。正しい歯磨きを身につけ、毎日しっかりと歯垢を取り除くことで、歯周病の進行をくい止め、再発を予防できます。
歯磨き指導では、歯ブラシの持ち方や力加減、歯と歯肉の境目を効果的に磨くコツをレクチャーします。軽い歯肉炎なら、正しい歯磨きだけで症状の改善が期待できます。スケーリング・ルートプレーニング
スケーリング・ルートプレーニングは、歯垢や歯石を専用の器具で取り除く処置です。まず歯の表面や歯肉の上に付着した歯石や歯垢を取り除いた後、深くなった歯周ポケットを改善するために歯周ポケット内の歯石や汚染組織を取り除きます。
また、歯根の表面を削ってツルツルに仕上げ、歯垢が付着しにくい状態にします。生活習慣指導
歯周病は生活習慣病ともいわれており、食生活、睡眠、ストレスなどの生活習慣が歯周病を悪化させる要因になります。
治療の効果を高め、再発を防ぐためにバランスのとれた食事や睡眠時間、ストレス管理についてアドバイスします。また、生活習慣を改善して歯周病を治療・予防することは、糖尿病などのほかの生活習慣病の予防にもつながります。禁煙指導
喫煙すると歯肉の血流が悪化することで免疫機能が低下し、歯周病の進行を促進してしまいます。喫煙の習慣があると治療の効果が下がってしまうため、禁煙が必要です。
患者様が歯周病のリスクを充分に理解し、積極的に禁煙に取り組めるようサポートします。禁煙することで歯周病治療の効果が高まるだけでなく、治療後の再発リスクも減らせます。フラップ手術
フラップ手術は、歯肉を切開して歯根やその周りの骨に付着した歯石や汚染物質を取り除く処置です。主にスケーリング・ルートプレーニングで歯石や汚染物質を取り除いても、症状が改善しない重度の歯周病に対して行ないます。
歯根に付着した歯石を直接確認しながら徹底的に除去することで、歯周病の進行が抑えられ、歯を長期的に保存できる可能性が高まります。
歯のクリーニング(PMTC)

PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)は、歯科医院で行なう専門的な歯のクリーニングです。クリーニング専用の機器や回転ブラシなどを使用し、歯磨きでは取りきれない歯垢やバイオフィルム、着色汚れを除去します。PMTCで歯と歯肉の境目や歯の裏など磨きにくい部分を徹底的に清掃し、専用のペーストで歯の表面を磨き上げると、歯垢が再び付着しにくくなり、細菌の繁殖を抑えられます。
また、PMTCは審美的な効果も期待できます。コーヒーや紅茶、赤ワインなどによる歯の着色やタバコのヤニなどもしっかりと除去し、歯本来の白さを取り戻せるため、白い歯を維持したい方にも欠かせない処置です。
PMTCの効果
- 徹底的に歯垢を取り除くことで、虫歯や歯周病を予防する
- 細菌の繁殖を抑え、口臭を予防する
- 仕上げにフッ素を塗布することで再石灰化を促進できる
- 炎症を抑え、健康なピンク色の歯肉を維持できる
- 着色汚れを除去し、歯の自然な白さを取り戻せる
マタニティ歯科

マタニティ歯科は、妊娠中のお母さんとお腹の中の赤ちゃんを対象にした歯科診療です。妊娠中は唾液が粘り気を帯びるため、お口の中に食べかすが残りやすくなったり、酸っぱいものを好むようになったりして、お口の中が酸性に傾きやすくなります。また、つわりの影響で歯ブラシをお口に入れることを苦痛に感じる場合もあり、虫歯や歯周病のリスクはかなり高まってしまいます。妊娠中の方こそ、お口の健康のために受診が必要です。
当院のマタニティ歯科では、妊娠を考えている方や、妊娠中の方、授乳中の女性に安心して受診いただけるよう、女性歯科医師と歯科衛生士が担当しています。また、当院はバリアフリー設計となっており、ベビーカーでお子さまとお越しの場合も、スムーズにチェアーサイドまでお進みいただけます。
妊娠中は、安定期に入ったら通常の治療を受けることができます。どうぞお気軽に受診ください。
マイナス1歳から始める虫歯予防

歯は妊娠7〜10週ごろから形成が始まり、妊娠4〜5ヵ月ごろには石灰化(硬くなる過程)が始まります。この石灰化に必要なカルシウムやリンは母体の血液から供給されるため、しっかりと栄養管理を行ないましょう。
また、生まれたばかりの赤ちゃんのお口には虫歯菌は存在しないのですが、その後80%以上の確率で母親から虫歯菌に感染することがわかっています。
妊娠中は栄養管理をするとともに、虫歯治療と予防でお口の中から虫歯菌の数を減らしておくことが必要です。
お子さまの歯を守るために、妊娠中(マイナス1歳)からの虫歯予防を始めませんか?ぜひ私たちに大切なお子さまのお口の健康を守るお手伝いをさせてください。
妊娠中の治療時期

安定期がおすすめです
妊娠中は、安定期(16〜27週)に受診されることを推奨しています。理由としては、妊娠初期(〜15週)は流産のリスクが高く、急性症状に対する応急処置のみの対応となる場合があるからです。
また、安定期を過ぎた妊娠後期(28〜40週)ではお腹が大きくなるため、治療中の体勢によっては低血圧や早産のリスクが高まります。下大静脈を圧迫しないよう体位に配慮して短時間で処置を行なうことはできますが、より安全に適切な治療を受けるには安定期がおすすめです。

レントゲン撮影について
妊娠中に歯科治療を受けるにあたり、レントゲン撮影による胎児への影響が気になる方も多いのではないでしょうか。歯科のレントゲン撮影では、鉛のエプロンを着用することで胎児への影響はほとんどないとされています。
しかし、当院では母体と胎児の健康を最優先に考え、可能な限りレントゲン撮影を控えるようにしています。
麻酔について
麻酔は局所麻酔を使用します。局所麻酔は帝王切開時にも使用される麻酔で、妊娠初期以外は安全性に問題なく、胎児に影響を与える心配はありません。治療中の痛みを軽減することで、治療をスムーズに進め、母体や胎児への負担を減らせます。
歯周病と早産・低体重の関係

妊娠中は、エストロゲン(女性ホルモン)の増加により、歯周病にかかりやすくなったり、悪化したりします。また、歯周病が進行し、歯肉の血管から歯周病菌が体内に入り込み、子宮や胎盤に感染すると胎児の成長不足が起こると考えられています。
さらに、歯周病の炎症を抑制するために分泌される炎症物質(プロスタグランジン)は子宮の収縮を促すため、早産を引き起こしやすくなります。
これらのリスクを減らすためには、早期に適切な歯周病治療を受けることが大切です。お口の中の歯周病菌の数を減らし、歯周病を予防していくことで、安心して出産を迎えられるようにしましょう。

出産後も安心して通院できる環境

当院はバリアフリー設計となっているため、お子さまと一緒にベビーカーで診療室やお手洗いに入ることができます。また、授乳室はもちろん、キッズルームやDVDルームなどのお子さまが遊べるスペースもご用意しております。出産後も通いやすい環境を整えておりますので、どうぞ安心してお越しください。
リスク・副作用
歯周病治療/歯周組織再生治療/歯周外科にともなう一般的なリスク・副作用
- 内容によっては自費(保険適用外)となり、保険診療よりも高額になります。詳細は歯科医師にご確認ください。
- 歯周病の進行状況によりますが、歯垢や歯石の除去時に痛みを感じることがあります。
- 治療に対して患者さまが協力的でない場合は、改善に歯周外科治療や歯周組織再生療法が必要になることがあります。その場合、歯肉を切開するため腫れや痛みをともなうことがあります。
- 治療後歯肉が下がることがあります。
- 治療によって歯肉が引き締まってくるため、被せ物と歯肉の段差とが目立つことがあります。
スケーリング/ルートプレーニングにともなう一般的なリスク・副作用
- 基本的には保険での診療となりますが、治療内容によっては自費(保険適用外)となることもあり、保険診療よりも高額になります。
- ルートプレーニングは、歯肉の中に器具を入れるため通常の歯石除去よりも痛みを感じることがあります。
- 歯のすき間に付着していた歯石が除去されることで、歯のすき間が目立つことがあります。
- 処置後、歯肉から出血することがありますが、時間の経過とともに治癒します。
- 処置後1~2日、何もしなくても痛みが出ることがあります。また噛んだときや歯を磨くときも痛みが出ることがありますが、時間の経過とともに治癒します。
- 処置後、しばらく知覚過敏の症状が出ることがありますが、時間の経過とともに治癒します。
- 処置後、歯肉の退縮を引き起こすことがあります。
フラップ手術にともなう一般的なリスク・副作用・切開した傷が治るのに数週間時間がかかる
- 治療内容によっては自費(保険適用外)となることもあり、その場合は保険診療よりも高額になります。
- 歯肉を切開する必要があり、傷の治癒に数週間かかることがあります。
- 歯肉が下がり、歯が伸びたように見えることがあります。
- 処置後1~2日、何もしなくても痛みが出ることがあります。また噛んだときや歯を磨くときも痛みが出ることがありますが、時間の経過とともに治癒します。
- 処置後、しばらく知覚過敏の症状が出ることがありますが、時間の経過とともに治癒します。
- 処置後、歯肉の退縮を引き起こすことがあります。
クリーニング・PMTCにともなう一般的なリスク・副作用
- 内容によっては保険適用となることもありますが、歯の病気の治療ではないため自費(保険適用外)となることもあり、その場合は保険診療よりも高額になります。詳細は歯科医師にご確認ください。
- 歯科医院でのクリーニング・PMTCだけでは、虫歯・歯周病の予防はできません。日ごろから歯磨きなどのケアに努めることで、予防効果を上げられます。
- 歯肉の腫れや歯肉炎のある方は、器具が当たることにより痛みや出血をともなうことがあります。
- 歯と歯肉の境目への歯石の付着が多い方は、歯石除去後、歯肉から出血が見られることがあります。多くの場合、クリーニング後しばらくすると出血は治まり、1~2日で歯肉は治癒します。
- 着色汚れや歯垢・歯石はクリーニング・PMTCで除去できますが、効果は永続的ではありません。いずれも再付着するものなので、定期的に受診して処置を受けることが大切です。
マタニティ治療にともなう一般的なリスク・副作用
- 自費診療(保険適用外)となることがあります。その場合は、保険診療よりも高額になります。
- 母子手帳を持参し、ご自身が妊娠中であることを伝えていただくとスムーズです。
- 治療内容によっては、同じ姿勢を取り続けることがあり、お体やお腹の赤ちゃんにとって負担となるため、仰向けがつらくなりましたらお知らせください。
- 妊娠初期は悪阻(つわり)により、お口に治療器具が入ることで吐き気をもよおす場合があります。妊娠後期はお腹がかなり大きく、治療のための姿勢の維持が難しくなるため、母子ともに状態が安定している妊娠中期の通院をおすすめします。